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▼ラスト蒼星石のツェルト6 [レス数14]
[1] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/05/31 18:20:53 5863


ようこそ!
狭いけど入ってよ。
とりあえず雨や風や悲しみは凌げるからさ。
僕と一緒に嵐が去るのを待とうよ。
(ツェルトとは緊急時などに使う簡易テントの事です。)


[2] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/06/04 09:54:21 5866


うわぁ〜〜〜ん!(T . T)
ごめんなさい〜い!!!!!

エラーが出たので何度もスレ立てたら3回も立ててしまった〜〜〜泣
オディール〜〜
みし見てたらふたつは消してほしいです〜。
ごめんなさいm(_ _)m


[3] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/07/31 08:50:57 5867


とても暑い夏が来てしまいました〜😅
みなさん如何お過ごしですか?

私のPCやiPadでは貼り付けた画像が表示されてませんが、
別窓でひらけば表示されます。
なのでこのまま細々と続けていきます〜😁

とりあえず夏っぽい画像を貼ってみます。


[4] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/09/06 17:25:58 5868


いつになったら涼しくなるのかな〜?😓
まだまだ暑いのに、
今年もほとんど渓流に行けずに夏が過ぎていってしまう……
寂しい……( ; ; )

も少ししたら海にアオリイカを釣りに行こうっと!
釣れたら絶対真紅にだけは料理させない。
翠星石や雛苺もレンジを爆発させるレベルだから論外。
お刺身を切るだけなら水銀燈は出来そうだけど、めった切りにしそうっw
金糸雀はみっちゃんに作ってもらってばかりで、自分では出来なさそう…
このスレの雪華綺晶はお料理上手だけど、公式設定ではそもそも食べるという行為をするのか???
薔薇水晶一択だ!
ばらしーはマスターのお世話をして暮らしてたはずだから、家事全般できるはずだ!
ばらしーまかせたよっ!
(↑その前に釣ってこいよw)


[5] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/10/21 17:32:08 5869


今は過ぎた昔のお話……

記憶がそれほど定かではないんだけど…
水銀燈とデリカスペースギアの話をしていて、
その後みんなでくんくん探偵のDVDを観ようと言う事になり、
その内容をそれらしく、勝手に書いた文章を保存していました。
多分この生涯において、私が書いた物語の中では最高傑作だと思います。😁
↓↓↓===============================


今だ!くんくん!犯人の正体は怪盗キャットだ!つかまえろ〜!(蒼星石興奮中)

怪盗キャット「へっへっへ〜館の主になりすましてたが、まさか夫人へのキスの仕方でばれちまうとはな」(←R-18指定?)
夫人    「けっ汚らわしい!コソ泥のぶんざいで!」
くんくん   「怪盗キャット!外は酷い嵐だ。逃げ場はないぞ!」
        (ビシャーン!……洋館の高くそびえる時計塔に稲妻が走る。館内が停電で真っ暗になる)
怪盗キャット「時計塔の避雷針を配電盤に繋いでおいたのさ。停電させるためにな」
くんくん   「うわぁ!なんだ?!僕たちの体が光ってる!」
怪盗キャット「お前たちの服にこっそり蛍光塗料を塗っておいたのさ。
        そして俺様は電池式のブラックライトを持ってる。お前たちの姿は見えるが俺様の姿は見えないって寸法さ」
くんくん   「しまった!いつの間に…」
怪盗キャット「あばよ!くんくん。名画「オディールの幻想庭園」はいただいてくぜ!」
くんくん   「だが外は嵐だ。この館からは逃げられないぞ!」
怪盗キャット「へっへっへ〜どうかなぁ?」

くんくん   「夫人!申し訳ないが懐中電灯か蝋燭を用意してください」
夫人    「今探していますが……暗くてよく見えないのです」
くんくん   「あわてなくても大丈夫です。雨の降る森の中を大きな名画を持って逃げる事はできません。
        森を横切る林道は雨でぬかるんで普通の車じゃ走れないし、
        この風ではヘリコプターや気球も使えません。奴はもう袋のねずみ……いや袋の猫です。」
夫人    「お願いです。主人の大切な名画「オディールの幻想庭園」を取り返してください!」
       (その時窓の外でエンジン音が響き、車のヘッドライトが洋館の外壁をなめる)
くんくん   「まっまさか!」
       (あわてて窓を開けてみる……一台の車が走り去る)
くんくん   「あっ!あのテールライトはデリカだ!しまった。奴め!4WDマシンを用意してたのか!」
夫人    「どっどういう事ですの?
くんくん   「デリカなら、ぬかるんだ林道を走破する事ができます。まんまと出し抜かれました。
        完敗です。………………でも来週は必ず名画を取り返すぞ!
        来週もまた見てねぇ〜!よろし〜くんくん!」(←強引すぎ?怪盗キャットの方がカッコ良くなってしまった…笑)


[6] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/11/04 04:37:08 5870


↑↑↑↑↑
もちろん続きを書くつもりなんてなく、その場の勢いだけで書いてしまったんですが、
ことの他皆様に好評で続きが気になるとのご指摘をいただき……😃
調子に乗って書いてしまいました。
もちろんプロットも無く、行き当たりばったりです。😆
↓↓↓↓↓====================

(深い森に囲まれた洋館の外では、強い嵐が吹き荒れ時折稲妻が走る。まだまだ治まる気配は無い。)

夫人    「もっと蝋燭に火を点けますか?」
くんくん   「いえ、もう十分明るいですよ。……何度もすみませんが、このあたりの地図と携帯電話はありますか?」
夫人    「もちろんあります。少々お待ちください。」
くんくん   「お手数をかけます」(くんくんは手渡された地図を蝋燭の灯ったテーブルの上に広げた)
くんくん   「ふむふむ……くんくん……ふむふむ……くんくん…」(←一休さんのポクポクみたいなものか?笑)
くんくん   「よし!わかったぞ!」(そう言うと、くんくんは携帯でどこかに連絡を取り始めた。)

くんくん   「…………………そうなんですよ、モー警部。(←牛か?牛なのか?)パトカーじゃ荒れた林道は走れませんから、
        林道の出口を検問して封鎖して欲しいのです。
        ええ……今度こそ奴を捕まえますよ。……それじゃ…よろし〜くんくん!」(ピッ!←電話を切った)
夫人    「怪盗キャットはもう逃げてしまったんじゃないのですか?」
くんくん   「いえ、大丈夫です。この長い林道から国道に出る場所は一箇所だけですから……」(地図を指差す)
夫人    「それではその場所で、あの忌々しいコソ泥を捕まえると……」
くんくん   「いえ。奴はそれほどバカではありません。ボクの推理によるとぉ〜………………………………
        此処に来る途中で見たのですが、国道までの林道脇に、綺麗なダム湖がありましたよね。(地図を指差す)
        発電用のダムの横には管理棟があり、そこには施設点検用のヘリコプターが置いてありました。
        これほどの大雨が降るとダムや川が増水して、ダムの管理人達はきっと大忙し。
        その隙にヘリコプターに潜り込み、天気の回復を待って自分で操縦して逃げるつもりでしょう。」
夫人    「何と言う推理……でもあのコソ泥がヘリの操縦まで出来るとは………」
くんくん   「奴はコソ泥に見えますが、ボクが長年追いかけても捕まえられない怪盗です。
        そういう意味では好敵手と言っていい相手です。」
        


[7] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2024/12/02 20:41:26 5871


(その時ドアをノックする音が聞こえ、コックの姿をした青年がルームサービスのワゴンを押しながら入ってきた)

青年コック 「奥様。 お申し付けのお夜食をお持ち致しました。」
夫人    「ごくろうさま。 探偵さん、お腹が減ってはナントやらですわ。召し上がってください。」
くんくん   「ありがとうございます。お腹すいたので遠慮無く頂きます。あぐあぐ…この焼きおにぎり美味しいですね。
        あぐあぐ…でも問題は、あぐあぐ…どうやって、あぐあぐ…ダムまで行くかです、あぐあぐ…、
        この館には高級車しか無いし、あぐあぐ…オフロードカーがあれば…あぐあぐ…」
青年コック 「え?僕持ってますよ?……この館の厨房にコックとして通うためにオフロードバイクを使ってます。
        必要ならお貸ししますが……。」
くんくん   「本当かい?なんと言う御都合主義……じゃ無かった…好都合な!」

(そう言うとくんくんは、夜食もそこそこに、さっそうとバイクにまたがり闇の中に消えていった。
甲高い2ストロークエンジンの音が遠ざかり、あたりは再び、雨と風の音だけが支配する闇と化した。)

{長くなってすみません!ここでCMタイムです。}


[8] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/02/22 14:50:11 5872


(CM明け後半)
ダムの管理棟の前には案の定デリカが止まっていた。
くんくんはバイクを停めて、管理棟の正面玄関の大きな扉から中へ飛び込んだ。
この管理棟はダムの見学用の施設もかねているらしく、
広い玄関フロアにはソファーセットがいくつも置かれ、右手には受付カウンターもある。
館内は停電してるらしく真っ暗だが、天窓から薄っすらと明かりが入って来る。
吹き抜けの高い天井からは大きな縦長のシャンデリアのシルエットも見える。
まるで大きなホテルのロビーの様だ。
新しい建物だがこの嵐で雨漏りしているらしく、どこかでピチャピチャと水音がする。

くんくんは暗がりの中、手探りで壁を背にしてゆっくりと移動しはじめた。
カウンターの前まで来た時である。
くんくんは力強い手に口を塞がれ後ろから羽交い絞めにされ、カウンターの中に引きずり込まれた。
暴れようとするくんくんの背後から男が耳元で囁いた。
「静かにしろ!さわぐなくんくん!俺だよ……」
その声は怪盗キャットだった。
キャットはくんくんの口を塞いでいた手をゆっくりと離し、人差し指を立てて天窓の方をゆっくりと指差した。
小さく篭った、しかし力強い声で「声を出さずに、よ〜く見ろ」と囁いた。

怪盗キャット「見えるか?」 くんくんが闇の中に目を凝らす……
くんくん   「何だ?何かあるのか?……そんな事よりキャット、ここで何をして……」

そう言いかけた時、窓の外で閃光が走り、雷の爆音と共に部屋の中が一瞬真っ白になるほど明るくなった。
そのわずかな瞬間にくんくんは見た。そして全ての状況を一瞬で理解した。
キャットの指差したシャンデリアだと思っていたそれは、天井から吊るされた死体だった。
首を吊った状態で三体の遺体がぶら下がっている。
雨漏りだと思っていた音は、フロアに落ちる血の音だった。

くんくん   「!………何だあれは?お前の仕業か?」
怪盗キャット「違う。俺は殺しはやらん。あれはここの従業員だ。
        この建物の中に殺人鬼が居る」 


[9] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/03/02 08:51:33 5873


くんくん   「キャット。犯人を見たか?犯人は何人だ?」
怪盗キャット「知らねーよ。俺が来た時にはもうこの状況だったよ。」
くんくん   「くんくん…くんくん…(考え中) 犯人はおそらく一人か二人…拳銃のような武器を持ってる」
怪盗キャット「何故そんな事がわかる?」
くんくん   「吊るされてるのはみんな体格の良い男だ。反撃されないために三人同時に殺せる武器を持ってるはず。
        そして、死体を吊るすのは強い恨みがあるからだ。
        誰も来るはずのない嵐の夜に、死体を吊るして誰かをビビらす意味は無いからね。」
怪盗キャット「ぶるるっっ!俺は十分ビビッたぜ。ここにじっと隠れて、外の嵐と、猟奇殺人の嵐が過ぎるのを待とうぜ。」
        (サブタイトル{嵐の中の二人}とは猟奇殺人の嵐のことだったんですねぇ〜)
くんくん   「残念だがそうはいかない。……耳を澄ましてみろよ。……」
怪盗キャット「……………………雨と……血の音しか聞こえんが?」
くんくん   「ここは発電用ダムを見学できる施設だぞ。これだけ雨が降ってるのにダムの放水音が聞こえない。」
怪盗キャット「まっ…まさか!」
くんくん   「犯人はこのダムを決壊させる気だ。」
怪盗キャット「下流には人口三万人の町があるんだぞ。皆殺しにする気かよ!」
くんくん   「犯人は今、三階にあるダムのコントロールルームに居るはずだ。捕まえに行こう。」
怪盗キャット「馬鹿言え!なっ何で俺が……関係ぇねぇだろ!」
くんくん   「犯人を逃がすという事は、お前のあてにしているへりを奪われると言う事だぞ。
        道路は封鎖してある。つまり殺人鬼は逃げてお前は捕まる。」
怪盗キャット「えっ?……ちょ…ちょっっっとまて……殺人鬼を一緒に捕まえたら逃がしてくれるのか?」
くんくん   「………………ダムの決壊を食い止めたらだ。……名画はやらんぞ。置いていけよ。」
怪盗キャット「いや…しかし……相手は殺人鬼だぞ。」
くんくん   「町を救って、ルパンやねずみ小僧の様に義賊と呼ばれるか、一生コソ泥猫か……」
怪盗キャット「………ちくしょう!わかったよ!協力するよ。」
くんくん   「よし!嵐が止むまで休戦だ。」

そういって二人は暗がりの中、コントロールルームに向かう階段を上がって行った。


[10] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/05/10 20:17:40 5874


コントロールルームの入り口の隙間から明かりが漏れている。
怪盗キャット「あれ?此処は停電してないみたいだな。」
くんくん   「下のフロアは照明が壊されただけだよ。
        発電用ダムの施設が停電する事はまず無いだろ。
        だから下のフロアに飛び込んだ時、何かが起こってるのは分かっていたよ。」
怪盗キャット「お前さすがに頭いいな。じゃあ〜頭のいい探偵さんよ。その頭脳で次どうするか考えてくれよ。」

くんくんは扉を少しだけそーっと開いて中の様子を伺ってみる。
ダムの放水口を見下ろす大きな窓の前に、操作パネルらしき設備があり、
その前で制服姿の若い従業員が椅子に縛られたまま、メーターの数字を読み上げている。
それより扉に近い場所で、犯人らしき男が椅子に縛られた所長らしき年配の男性に拳銃を突きつけている。

若い従業員「危険水位を5200mmも超えてます!もう限界です!」
所長    「わしを殺してもいいから、ダムを壊さないでくれ!たのむから……このダムには三万人の命と生活が…」
犯人    「お前は殺さん。ダムを決壊させた男として日本中から非難され、生き恥をさらせ!」

くんくん   「くんくん…くんくん…(考え中)…入り口のすぐ右側に照明のスイッチがあるからそれを消して暗くする。
        僕が囮になるから、お前が犯人の拳銃を押さえろ。犯人は一人だけだ。」
怪盗キャット「やだよ!お前がやれよ。第一暗闇の中でどうやって犯人の位置を特定するんだよ?」
くんくん   「犯人は間違いなく僕に向けて発砲するから、発砲の光で拳銃の位置は分かるはずだ。」
怪盗キャット「なんでだよ?照明を消したら犯人だってお前の姿が見えないじゃないか?」
くんくん   「お前、ブラックライトを持ってたろ。」
怪盗キャット「…!……持ってるけど……」
くんくん   「僕の服には蛍光塗料……犯人には僕しか見えない。犯人は間違いなく僕に向けて発砲する。」
怪盗キャット「お前死ぬ気か?いくら犬のぬいぐるみでも、撃たれたら死んじゃうんだぞ。」
くんくん   「嫌なら囮の役を変わるか?僕の服を着て……」
怪盗キャット「冗談じゃねぇよ!死にたくねぇよ。お前が囮やれよ。
        それに俺様の猫足のほうが、音を立てずに犯人に近づけるし。」
くんくん   「じゃあ決まりだな。………ドジるなよ…キャット…」
怪盗キャット「お前こそ死ぬなよな……。」

くんくん   「行くぞ!キャット!」
二人は扉を開け、照明を消し、暗闇と化したコントロールルームに突入していった。


[11] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/07/08 09:49:44 5875


暗闇の中でパニックになった犯人が叫ぶ。
犯人    「うわぁぁぁ〜!何だ!…誰だ!明かりを点けろ!」
コントロールルーム内には、事務用の机や椅子がならべられている。
ドカン!バタン!とそれらにぶつかる音がする。
ある程度犯人に近寄ったと思われる場所で、キャットはブラックライトをONにした。
目に見えない紫外線が反射して、蛍光塗料の付いたくんくんの服だけが闇の中に白く光る。
犯人    「うわぁぁぁ〜!」
絶叫と共に犯人が二発、三発と拳銃を発射した。 バンッ!…バンッ!バンッ!……
闇に浮かんだくんくんの白いシルエットが銃弾に引き裂かれ粉々に飛び散った。
怪盗キャット「くんくん!!!」
キャットは叫びながら、犯人の持つ拳銃に飛びついた。
犯人の腕を引っかき、噛み付き、見事に拳銃を奪い取った。(さすが猫)
だがキャットは犯人を捕まえようとはせず、
拳銃を持ったまま入り口近くの照明のスイッチまで戻り明かりを点けた。
明るくなった部屋を見回すがくんくんは見当たらない。
怪盗キャット「くんくん!何処だ!………………死んじまったのか?……返事しろ!
死んだのなら死んだって言えぇ〜!!!」
キャットの半泣きの声だけがむなしく部屋に響く。
くんくんからの返事は無い。



[12] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/07/10 08:26:21 5876


暗闇の中でパニックになった犯人が叫ぶ。
犯人    「うわぁぁぁ〜!何だ!…誰だ!明かりを点けろ!」
コントロールルーム内には、事務用の机や椅子がならべられている。
ドカン!バタン!とそれらにぶつかる音がする。
ある程度犯人に近寄ったと思われる場所で、キャットはブラックライトをONにした。
目に見えない紫外線が反射して、蛍光塗料の付いたくんくんの服だけが闇の中に白く光る。
犯人    「うわぁぁぁ〜!」
絶叫と共に犯人が二発、三発と拳銃を発射した。 バンッ!…バンッ!バンッ!……
闇に浮かんだくんくんの白いシルエットが銃弾に引き裂かれ粉々に飛び散った。
怪盗キャット「くんくん!!!」
キャットは叫びながら、犯人の持つ拳銃に飛びついた。
犯人の腕を引っかき、噛み付き、見事に拳銃を奪い取った。(さすが猫)
だがキャットは犯人を捕まえようとはせず、
拳銃を持ったまま入り口近くの照明のスイッチまで戻り明かりを点けた。
明るくなった部屋を見回すがくんくんは見当たらない。
怪盗キャット「くんくん!何処だ!………………死んじまったのか?……返事しろ!
        死んだのなら死んだって言えぇ〜!!!」
キャットの半泣きの声だけがむなしく部屋に響く。
くんくんからの返事は無い。


[13] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/08/10 08:38:24 5877


犯人    「うぐぅ〜〜離せぇ〜何だお前らは?」
机の影から犯人の呻き声が聞こえる。
キャットは拳銃を構えながら、恐る恐る近づいてみる。
くんくん   「キャット。何か縛るものを探してくれ。電気のコードか何かでいいから……」
怪盗キャット「何だよ!このやろう!生きてるんなら返事しろよ!」
くんくんは犯人の顔を床に押し付け、右腕を後ろ手に捩じ上げて確保している。
くんくん   「死んでるなら返事しろって……僕生きてるし…」
怪盗キャット「撃たれたと思ったぞ。」

部屋を見てみると、入り口近くの壁に掛けてある、従業員が上着を掛けるためのハンガーに
ぼろぼろになったくんくんの服が掛けられている。犯人はそれを撃ったのだった。
二人は犯人を縛ると同時に所長の縄を解いた。
所長はお礼もそこそこに、すぐに操作パネルに向かい放水作業を始めた。
作業が一段落したところで所長はこちらに向き直って言った。
所長    「これでひと安心です。どなたか存じませんが本当に助かりました。」
怪盗キャット「俺様は通りすがりの大泥棒です。」
くんくん   「僕は通りすがりの名探偵です。くんくん!」
怪盗キャット「おまっ……今…自分で名探偵って……」
くんくん   「お前だって大泥棒って言ったじゃないか」
怪盗キャット「それはともかく………殺人鬼さんよぉ…お前は誰なんだ?」
キャットはぐるぐる巻きにされた犯人に向かって尋ねた。
所長    「実は…この男は下流の町の警察官です。ボランティアで山岳レスキューまでやってる…ホントは良い奴なんです。」
くんくん   「拳銃がポリススペシャル(拳銃の種類)だったかから、そうじゃないかと……」
怪盗キャット「お前、気付いていたのか…」
犯人    「俺は確かに殺人鬼だが、その所長さんだって人殺しだぜ。
       ………知りたいなら俺が話してやる………。」
そう言って犯人は縛られたままゆっくりと語り始めた。


[14] 投稿者:蒼星石(Cindy) 投稿日:2025/10/22 11:02:04 5887


犯人    「二ヶ月ほど前の、同じような嵐の日だった。山で遭難者が出て、
       山岳レスキューをやってる俺と妻は救助隊に参加した。
       遭難者は無事保護されて、俺たちはベースキャンプを片付けてから、
       車でこの林道を通って町に帰る途中だった。
       このダムの少し下流で、林道に急に大きな牡鹿が飛び出した。
       俺はびっくりしてハンドルを切ってしまい、
       ぬかるみにタイヤをとられて、谷底に転落してしまった。
       車は谷川に半分水没してたが、俺はかすり傷だけで脱出出来た。
       だが…妻は……ひしゃげた車のボディーに足を挟まれ、抜け出せなかった。
       嵐で雨が降っていて川は増水し始めていた。
       俺は上流にダムがあるのに気付き、ここまで走ってきて
       放水を止めてくれとお願いした。だが……
       『ダムが決壊したら三万人が死ぬ。放水は止められない。』
       と言って断られたんだ。どんなにお願いしてもだめだった。
       俺はあわてて妻の所に戻ったが…すでに増水していて…
       車ごと流された後だった。その後どんなに探しても見つからなかった。」
所長    「仕方なかったんだ。ダムが限界だった。もちろん警察とレスキューを呼んだ。」
犯人    「俺がその警察とレスキューなんだよ!……
       遺体の無いまま妻の葬儀をすませ、俺は街のパトロール勤務にもどった。
       ところがどうだ!どいつもこいつも、ゴミやタバコをポイ捨て、
       所構わず携帯で馬鹿話、酔っ払いに喧嘩……ルールもマナーも無視……
       罪としては…重罪じゃないが…こんな奴等のために妻が犠牲になったのかと思うと……
       悔しくて悔しくて……。
       そして俺は次の嵐が来るのを待った。
       妻を見殺しにしたダムの職員を殺して、街のゴミ共を一気に洗い流すために。
       お前らのおかげで計画は失敗したが、この話をマスコミに流してくれ。
       そうすりゃみんな……少しは真面目に生きるだろ。」
犯人の独白が終わるともう誰も口を利く者はなかった。
窓の外では、始まったダムの放水音が地響きを立てて鳴り響いていた。
       


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